デジタル遺品とは?トラブルや安全に処分するための方法について解説!

皆さま「デジタル遺品」という言葉をご存知でしょうか?
遺品というと、大切な思い出の品など、形を持ったものを想像する方が多いと思います。
しかし、遺品というのは決して形を持ったものだけではありません。

デジタル遺品とは、データとしては存在するものの、形を持たない遺品のことです。
主にスマートフォンやパソコンの内部に保存されているデータなどがそれに当たります。
デジタル遺品は取り扱いが難しいものです。
そのため、これらの遺品をどのように処理したらよいかわからない、間違った方法で処理してしまいトラブルを生むケースも少なくありません。
そこで今回は、デジタル遺品について詳しく解説いたします。

■デジタル遺品の取り扱いが難しい理由
○どのようなデータがあるのかわからない
デジタル遺品は、主にスマートフォンやパソコンの内部に保存されています。
そのため、「第三者から見て、何があるのかひと目でわからない」という問題があります。
形のある遺品であれば故人が亡くなったあとでも、家族だけで片付けることができます。
しかし、データとなると「このIDとパスワードはどのサイトのものなのか」といった「保存した本人以外にはわかりにくいデータ」が必ず出てくることになるでしょう。

○何があるかわからないまま捨てるわけにはいかない
「亡くなった人以外は使わないから、何が入っているのかわからないけどパソコンごと捨ててしまおう」というのは危険です。
デジタル遺品には処分してしまうとまずいデータが含まれている可能性があります。
どこにどんなデータがあるのかわからないまま捨ててしまっては、あとで必要になったときに探し出すことさえできなくなります。

○見てほしくないデータが入っている可能性もある
何があるかわからないからといって、デジタル遺品を徹底的に調べるのも考えものです。
誰しも「他人には絶対に見せたくないもの」があるはずです。
むやみにデジタル遺品を調べるのも、故人の尊厳を傷つけることになります。

これらの理由があるため、デジタル遺品は取り扱いが難しくなります。
だからこそ、デジタル遺品が原因で発生するトラブルも多いのが現状です。

■デジタル遺品が原因で発生するトラブル
それでは、デジタル遺品が原因で発生するトラブルが具体的にどのようなものなのかご紹介いたします。
○あとになって資産が見つかる
デジタル遺品の中で厄介なのが「家族も存在を知らない銀行口座」などです。
近年はオンラインバンキングなどのサービスが発展しており、実店舗を訪れなくても簡単に銀行口座の開設ができます。
そのため、家族であっても故人の銀行口座を知らないというケースが少なくありません。
遺産トラブルが発生する可能性もありますし、他の親族から「遺産を隠したのではないか」と疑いをかけられてしまうことも考えられます。
金銭トラブルは親戚とのその後の付き合い方にも影響を及ぼす問題なので、慎重に対処する必要があります。

○有料サービスの料金が引き落とされ続ける
もし、故人が月額制の定額料金サービスを利用していた場合、本人が亡くなった時点でサービスの運営会社にその旨を伝え、サービスを退会しなくてはなりません。
しかし、故人の家族がサービスに登録していることを知らなければ、退会の手続きをすることは不可能です。
すると、延々と使用料金が登録口座から引き落とされていくことになります。
また、解約するためにはIDやパスワードなど、登録解除に必要な情報を運営会社に尋ねる必要が出てくるので、余計な手間がかかってしまうことになります。

○プライバシーにかかわる情報が外部に漏れてしまう
パソコンやスマホなど、デジタル遺品が収められていた媒体を処分するとき、収められているデータが誰かに知られてしまうかもしれません。
中には、個人情報にかかわる情報が含まれている場合もあるので、犯罪などに利用されると残された家族が害を被ってしまう可能性もあります。

■デジタル遺品を安全に処分するために
デジタル遺品の処分には十分注意する必要があります。
トラブルを避けるためにも、安全にデジタル遺品を処分するための対策についてご紹介いたします。
①生前整理を実施
生前整理とは、亡くなる前にあらかじめ遺品の整理を進めておくことです。
生前整理は形を持った遺品だけに行うものではありません。
デジタル遺品に対しても効果的です。
デジタル遺品の生前整理としては、家族に見せる必要があるデータと、そうではないデータをわかりやすく分けておき、自分以外の人が見たときにひと目でわかるようにしておきましょう。

②見てほしくないデータにはパスワードを掛けておく
もしかすると、家族や第三者が偶然、見てほしくないデータを開いてしまうことがあるかもしれません。
そのため、見てほしくないデータにはパスワードを掛けておき、簡単には閲覧できないようにしておいてください。
また、そのことをあらかじめ家族に意図を伝えておけば、パスワードを解除してまで中身を見ようとはしないでしょう。

③エンディングノートを残しておく
エンディングノートとは、自分が亡くなった後のことについて、生きているうちに望みを書いて残しておくものです。
遺書とは異なり法的拘束力はありませんが、デジタル遺品を整理するには十分なものかと思います。
「家族にとって必要なデータはこの場所に保存してあるから、他のデータは削除した後に処分してほしい」などをノートに残しておきましょう。
家族にとっては、面倒な遺品整理の手間が省けますし、亡くなる方本人にとっても、見てほしくないデータにアクセスされる恐れがなくなるため安心できます。

■まとめ
今回は「デジタル遺品」について解説いたしました。
デジタル遺品は、正しい処理の方法を知らないと、多くのトラブルを生みます。
デジタル遺品によるトラブルは、決して他人事ではなく、誰にでも起こりうること。
もしものときに困らないためにも、今のうちにデジタル遺品についての知識を深めることは大切です。


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